2011/09/27

Kop Hill --Hill Climb Revival event--


イギリスの恐ろしさを改めて感じた、鳥肌立ちっぱなしのイベントでした。
こんな素晴らしい車両が数百台も集まって、一台一台走らせるのです。
驚くほど静粛なエンジンもあれば、爆音撒き散らしてぶっ飛ばす車両もあり。
写真はもう少し追加予定ですが、まずはその一端を。

Kop Hill



剥き出しでありつつ、精密でもありつつ、ただただ息を呑むばかりです。



まさに英国紳士の遊び、といった風情。
ちなみに故・白洲次郎氏は、ベントレーやブガッティーを
イギリスで乗り回していたんですよね。

NHKのこんな面白いページを見つけました。
イギリス留学時の、彼の愛車であったベントレーそのものが日本にあるんだそうです!


旧白洲邸、武相荘は憧れです。



「Piece of Art」 という言葉がぴったりはまります。



ポルコロッソを人間に戻して、悪役にするとこんな感じでしょうか?
渋い&怖い。




イベントの参加車両をプログラムで確認すると、それほど遠くからエントリーしている車両は無かったよう。ということは、こんな車両たちはイギリス中にはどれだけあるんだろう・・・と考えると更に恐ろしい。UK恐るべし・・・

2011/09/21

The Art of BSA Gold Star's Cylinder Heads 02

BSA GOLD STARというと、最終型の「DBD」が真っ先に浮かびますが、年代を経て進化してきました。ちなみにゴールドスターを呼ぶ際は、年式によるモデルの違いを分けるために「エンジンナンバ-」で主に区別します。

戦前に登場した、初めてのゴールドスターはM24というモデル。そして戦後にプランジャーフレームのZBが350にまず登場し、すぐに500ccが後を追います。マン島で行われたクラブマンTTレースでは、350ccでまずゴールドスターはその実力を発揮。500ccクラスではトライアンフのT100やノートン・インターが優勢を誇っていました。

その後、エンジンのデザインが大きく変更、スウィングアームと改良されてBB。フィンが迫力のある大きさに拡げられCB、DBと進化。

そして1 1/2 (ワン アンド ハーフ インチ 38mm)の最大口径のレーシングキャブレターを装備し、190mmのFull Width(フル・ワイズと日本では呼ばれています。)ブレーキが与えられます。更に、ゴールドスター・クラブマントリムには欠かせない、ギアボックス「RRT2」(アール アール ティー ツーと発音。)が全て揃うことで、広く認識されている「ゴールドスター」となります。「DBD」という、エンジンナンバーへと変更され、その最終型は1956年から1963年間まで生産されました。


ゴールドスターが何故それほど一線を画す車両として、羨望されるのかという理由は:

1:マン島 クラブマンTTにて圧倒的な勝利を収め、最終的には出場車両のほぼ全てをゴールドスターで独占してしまったがため、そのレース自体が取りやめになってしまった、という逸話。

2:公道仕様として、ヘッドライトなどが付けられて販売された「セミ」レーシングマシンであり、一般でも手が届くマシンであった。それが故、究極のカフェレーサーとして位置付けられた。

3:セッティングやスタートが難しいとされる、レーシングキャブレターの装着。街中では乗りにくく、半クラッチの多用を強いられる、クロスレシオ・ギアボックス。オリジナルでクリップオン・ハンドル(セパハン)、そしてバックステップ仕様という、「ジャジャ馬」を扱う感覚。

4:クラブマン仕様だけでなく、オフロードモデルの活躍。スクランブラーモデルや、カタリナモデルという幅の広さ。

5:単純に、美しい。


という訳で、ゴールドスターのシリンダーヘッドのデザインあれこれを、お楽しみください。



ZBはロッカーボックスが一体。






BBのヘッド上部の直線的なフィン。



 CB以降、DB、DBDは曲線へと変更されています。



ZB燃焼室側。右は当時のデイトナレースで使用されたマシンを再現するために
350から500へフィル・ピアソン氏によって加工されています。



左はワークスCB用ヘッド。何故かスタッドボルトが4本へ減らされている実験車両。
右はDBD市販モデル。



BBより砂型から、鋳型へと移行したそうで、混在しています。


こちらはヘッドの集合写真、世界初!?↓


Courtesy of Mr.JP
Thanks a million as always!

2011/09/17

BSA GOLD STAR GP Carb


無性に乗りたくなったので、Goldieを屋外に引っ張り出し、キャブを久しぶりにGPへ交換。GPキャブはイギリスでも「始動が難しい」「人が見てる時に限ってエンジンが掛からない」「GPでのキックスタートはアートだ!」などと色々言われています。確かに、コンセントリックよりは神経を使いますが、ちゃんとセッティングが出て、慣れてしまえばちゃんと掛かります。毎回数十回キックして掛からないものには何かしら原因があるのです。

ちなみに私の場合は、

1:ガソリンコックをオンにし、フロートにガスが溜まるのをしばし待つ。

2:3秒弱、別体フロートのティクラーを押す。

3:デコンプを引いて、数回軽くキック。

4:スロットルは開けないまま、よっこらしょとキック。

5:大体、軽く掛かる気配があるので、ティクラー1秒追加。

6:勢いをつけてキックし、火が入ったと思ったらアクセルを少し開いてエンジン始動。

という感じです。4の軽いキックの時でもあっさりと掛かる時はあります。

油面の高さや、丸型かマッチボックスフロートかでも変わるとは思いますが、フロートからガソリンが漏れるまでオーバーフローさせると私の場合はエンジンの掛かりがかなり悪くなります。なので、ティクラーを少しずつ押すことがポイントかもしれません。あとはむやみにアクセルを開きすぎないことでしょうか。チョークは使わずに、大体全開にしています。アクセルを開かない状態でキックして、掛かる気配があればすんなり行くはずです。パイロットアジャスト・スクリューを少しずつ弄っても良いかと思われます。ちなみにGP1と3は締めこむと、薄くなります。完璧に締めこんでも未だに濃い、もしくはエンジンが周り続けるようであれば、他のスクリューやホルダーと組み合わせてチェックしてみてください。


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思い返してみれば、2008年の10月にスコットランドまでこの車両をビューイングしに行ったのでした。当時のオーナーは歩行に杖が必要な方で、このゴールドスターにはもう乗れないと分かっていたものの何年か所有されていました。こちらのクラシックバイク新聞に私が「求む」の広告を出したのですが、その文面を読んで、「大事にしてくれそうだ」と思って連絡をくださったのでした。

(ちなみに、イギリスでは個人売買が盛んです。ショップにて購入する人の方が少数派。これは大体のメンテナンスを自分でする、DIY精神が根付いているからでしょうね。)

何とか時間をつくって、徒歩とバスと飛行機と電車とタクシーでスコットランドの辺境にある彼の家まで辿りつき、いざこの車両と対面。オーナーは自分ではキックできないので、全て私に任せてくれましたが、この時何回キックしたか覚えていないぐらい蹴りました。慣れないキックのポジションだったため、スネは傷だらけになる有様でしたが、たった一度だけエンジンが掛かりました。それがこの時の動画です。「エンジンが掛かったら運命かもしれない。」と思うほどに蹴り倒した記念すべき出来事でした。


2008年10月22日 Stranraer にて

スロットルを戻した際に、「トゥルルルル」という高音が入りますが、
これが有名な「Twittering」(ツイッターリング→鳥のさえずり)と言われる
ゴールドスターの排気音です。

このツイッターリングがしないサイレンサーもありますが、個人的にはアリが好みです。



その1週間後、実はもう一台のゴールドスターを見に行き、そちらは試乗までさせていただきましたが、オーナーの人柄や旅の思い出によって、エンジンを掛けただけの車両に決めてしまったのでした。これまでの人生で一番高い買い物であり、今となってはエンジンのボトムエンド以外は大体手を入れたような気がしますが、10代の頃からの憧れの車両だったが故、それだけ自分の情熱を注ぐことが出来たんだと思います。


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どんな車両でも、値段や価値は関係なく、そこにどれだけ「自分なりの思い入れ」があるかが、一番素晴らしいモーターサイクリングなのだろうと思う次第です。そして、自分が憧れる車両は、妥協せずに、何年かかっても手に入れることが、そのまま喜びの大きさとなって返ってくるのだと実感しました。と、何だかアツくなって書いてしまいました。


その時のビューイングの旅はこちら。↓
http://jhv692k.exblog.jp/9471431/


最近はリビングを占領していました。↓
http://modebyrockers.blogspot.com/2011/07/trusty-old-machinery.html


コンセントリックの1000シリーズは2ストから4スト用へスプレーチューブの交換を行いました↓
http://jhv692k.exblog.jp/12466107/


初めてコンセントリックに交換した際↓
(こざかしいことを書いていますが、本当か?)
http://jhv692k.exblog.jp/12581527/


36mmのコンセントリックに交換した半年前↓
(36mmは街中で乗りやすい、低中速での加速が楽しい!)
http://jhv692k.exblog.jp/m2011-01-01/

"Ace Times" Launch Party at Lewis Leathers London 02



新旧トラ4台。イギリスではここ数年でモダン・ボンネが街中でかなり増えました。
新生ノートンも事業拡大に向け、政府からの融資を受けたそうです。
これからのUKメーカーの展望が楽しみです。



ジェイクは気軽な街乗り、500のトラで登場。



赤がトレードマークのセイラはスラクストン、もちろんレッド。
以前こんな記事をガールズバイカーに寄稿させていただきました。



レザーガール Hirokoは相変わらず絶好調のスピードツインにて。
排気音がジェントルで傍で聞いていて心地良いのです。



Cheneyフレームのトラを持つ Nick Ashley は今回自転車で参加。
10月にニューショップがオープンだそう。
アーティスト気質のカッコいい人です。



深いネイビーのフレームが特徴のマークのトライトン。
手入れが行き届いているためいつでもミント・コンディション。



Mark Eleyはフラット・トラッカーのSR。
街中をぶっ飛ばすので、よくまだピンピンしてるもんだと感心します。笑





今回もロンドン中心地で爆音が撒き散らされた、
楽しい一日でありました。

2011/09/13

"Ace Times" Launch Party at Lewis Leathers London

先週木曜日に、ACE CAFE REUNIONに絡めたイベントがルイスレザーズで行われました。

(写真は後ほどもう少し追加する予定です。)



左はこのACE TIMESを監修した、ジャーナリストのMick Duckworth氏。Ton Up Boy/Rockersをバックグラウンドに、二輪車のジャーナリストとしての道を極めんとする彼はイギリスのクラシックバイク界の重鎮です。ちなみに彼はマン島生まれのため、3本足タトゥーがこじんまりと腕に入っています。右はACE CAFE LONDONのマーク。この本はまた改めて(多分)紹介させていただきますが、これまで見たROCKERS本の中でベスト5に入るおススメ本です。カフェレーサーにまつわる本が色々と出版されていますが、最近の中ではダントツ1番です。

とある事情で、この本はアマゾンにはもう流通しないため、残念ながら気軽な値段で購入することが出来ませんが、日本の支社を通じて何とか良心的な価格で提供してもらいたいものです。何なら日本語に翻訳してしまえば、ROCKERSカルチャーの凄いバイブルになると思います。

エースカフェUKよりダイレクトでオーダーできます。やはり送料が大きいですが、昨今の超円高を考えれば踏み切っても良いのでは?http://www.acecafeshop.com/products/376














ルイスレザーズUKで催されたイベントの過去ログ

あ、そういえば OR GLORYも未だに紹介させていただいておりませんでした・・・


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59クラブの更新の件でご連絡いただいた、群馬県のSさま。
メールが戻ってきてしまいますので、別アドレスにてご連絡をよろしくお願いいたします。

2011/09/08

Side Valve



突然ですが、サイドバルブの登場です。
プッシュロットが無い、ロッカーボックスが無い、なるほどシンプル。
ヘッドはピストンと2つのバルブを横にレイアウトしたままのシェイプ。

ちなみに構造上、イグニッションタイミングはプラグホールからは調整できません。







エキゾーストパイプは2インチの迫力モノ。

2011/09/05

Busy Bee Cafe Reunion2011



Busy Bee Cafe Reunion 2011! 9月はまずこのビジー・ビー・カフェのリユニオンがあり、その翌週にAエースカフェ リユニオンという毎年の流れ。ここ2年はご無沙汰でしたが久しぶりに行ってきました。




最初から雲行きが怪しいことは分かっていましたが、結局大雨に。テントの中に集まっての雑談大会となっていました。




この紳士、BobさんはこちらのTriumph T110をほぼ新車で購入、今でも大事にされています。オリジナルの話をするとカラーがちょっと違うやら、エキパイが違うやら、ということになりますが何十年もその車両と付き合ってきた思い出の深みを考えると、傍からあれこれ言うのはナンセンスなことに思えてしまいます。自分の相棒として、必要があれば部品を交換する、手入れする、ということの積み重ねによって彼=T110という図式が出来るんだなぁと改めて感じました。




オリジナルのことをうだうだ言うのはナンセンスだ!と上では言いつつ、これがT110のオリジナルハンドルです。笑 どのモデルに、何年間使われていたのかは知りませんが、ホーンのボタンがハンドルにねじ込まれます。ナセルモデルには同じ仕様が共通して使われていたのでしょうか。配線が表に出ないため、見た目が潔くて○。




このワンテンを購入した店のステッカー。リペイント時にもちゃんと残したそうです。日本に入っている車両にも、この写真のような場所や、リアマッドガード(フェンダー)の端などに当時のディーラーのデカールや、プレートが打ち付けてある車両もあるでしょうね。是非大事にしていただきたいです。



 ガーダーフォークのパンサー登場。恐ろしく良い味出てました。





片方のポートを閉じています。何か特別な意味でもあるのかと思いましたが、オーナー曰く、「一本しかサイレンサーが無かったから閉じた。」という明快な答え・・・



ギアチェンジレバーの前に、子供レバー付き。デコンプレバーはもう一つ普通の位置にありますが、これもデコンプを補助するものだそうです。



こちらはベロセット。クラブマン仕様になっている車両で、リアセット(バックステップ)が装着されていました。キック機構に干渉しないための、ギアチェンジレバーの曲線がニクイ。



ROCKERS BOOKを自費出版しているチェスター、現在3冊目まで発売中。

後ろに見えるミニチュアは60年代に彼がよく訪れていたカフェで、
それぞれにちょっとしたストーリーが組み込まれています。それはまた次回に。



今年も、いつも通りカフェの床が掘り起こされ、そしてまた来年まで埋められます。



ベストカフェレーサー賞をいただきました!今回は雨だったので、台数が少なく競争率がかなり低かったのでした。笑 でも自分で仕上げた車両なので嬉しいものです!

以前のレポートはこちら↓





昔のものは文章のノリも違うため、小っ恥ずかしいですが
久しぶりに読み返してみると初心を思い出します。

2011/09/01

Banksy, New Piece in Camden


毎日のようにその側を通っている、とある家の壁に突如として現れたペインティング。信号待ちで良く止まる場所なので、「こんなのあったっけ?無かったような気もするし、気にしてなかった気もするし?」と思い始めた数日後に、額縁が設置されました。グラフィティでこんなに大事にされるということは、、、と調べてみるとやっぱりバンクシー。この「アート」は家の持ち主が保護することに決めたそうで、がっちりと防御されることになったとのこと。パルプフィクションの登場人物が銃の変わりにバナナを構えている名作は区が「落書き」として塗りつぶしたりと、消されてしまうことも多いのでリアルタイムで見れるとは思わぬラッキーでありました。



バンクシーのグラフィティーのマップはこちら




「バンクシー」という言葉を聞くと、彼のことを教えてくれたフラットメイト2名を思い出します。ロンドンに長く住むと、出会いもあれば別れも多く、渡英直後からの知り合いはほとんど帰国したり、別の国に移住したり。「外国人」として長く住み続けることの難しさ、寂しさをふと感じたりもします、なんて。